これでよいのか小・中学校の外国人英語指導助手?
外国語指導助手(Assistant Language Teacher=ALT)とは主に公立の小学・中学・高校で日本人の英語教師を補助する外国人英語指導員のことです。
私の経営するエース英会話スクール(ACE)では外国人講師採用で年間600人ほどの英語インタビューを実施しています。勿論、訛の強い人や文法的に正確な英語を話したり書いたりできない人は採用していません。残念なことに弊社が採用しない訛の強い人や文法的に正確な英語を話したり書いたりできない人がかなりの数、実際に公立小学校や中学校でALTとしてフルタイムで勤務していることが英語インタビューを通じてわかりました。
こんな発音と文法で英語を教えては拙いと思われる講師が公立の小中で英語を教えている事実には驚きと落胆を隠せません。(生徒が可哀想です。)英米を中心とした英語圏以外の国の人々、英語は母語ではないが公用語として使っている国々の人達です。具体的にはフィリピン、インドなどのアジア人やケニア、南アフリカなどアフリカの人達です。それらの国々の人すべてが英語を教えられないかというと、そんなことはありません。ACEでも標準米語に限りなく近いきれいな発音をし、文法的に正確な英語を話すフィリピーノを講師として採用しています。フィリピンでは特に米国企業に勤めるために標準米語を指導する発音研修所が数多くあり、標準米語の発音と発話を身につけることができます。
私が主張したいのは、英語圏以外の英語を公用語として使っている国々の人達をALTとして使ってはいけないと言うことでは決してありません。問題は、どこの国の人であろうと十分に発音と発話を審査したうえで採用しなければならないということです。実際に、米国人でも南部出身の人で南部訛の強い人はACEでも採用していません。また英国人でも地方出身の人で訛の強い人は採用しません。残念ながらインド人はかなり独特な発音やイントネーションを持った人が多いのでインタビューしても採用することはごく稀です。
また発音のみならず、文法的に正確な英語で話していない人は採用できません。具体的な例を挙げると、フィリピンの応募者で、I look forward to meeting you soon. という英文をI look forward to meet you soon.と表現する人が多いのには驚いてしまいます。ご存じのようにlook forward toのtoは前置詞であり後ろには動名詞を置かなければなりません。不定詞のtoではありません。そんな人の英語に耳をすまして聴いてみるとかなり文法的にいいかげんな英語を話しています。履歴書では大卒なのですが…
公立の英語の授業で、文法的に正確ではない英文を訛のある発音で大きな声でリピートしなければならない子供たちが可哀相です。なぜこのような人達が公立のALTとして教壇に立っているのかと調べてみると、入札システムに行き着きます。
元々ALTは今まで外国語青年招致事業で賄われていました。(通称JETプログラムと呼ばれ、地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省及び財団法人自治体国際化協会の協力の下に実施する事業)2005年には、おおよそ6000人がこの事業に採用されました。約半数はアメリカから来日しており、他の100名以上の参加がある国は、イギリス、アイルランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドとなっています。
平成14年度より総合的な学習の時間が本格的にスタートし、その中で英語活動が全国22,480校にのぼる公立小学校に導入されました。上記6000人のJET講師では到底賄えない数の公立小学校で英語の授業が行なわれています。足りない外国人講師は、市の教育委員会が民間の外国人講師派遣会社へ入札を実施して調達しています。つまり、この入札で最も安い料金を提示した英語講師派遣会社が講師を派遣しているのです。一番安い料金で落札しているので利益を上げるためにはできるだけ安い経費で講師を採用して安い給与で働いてもらわなければなりません。つまり質には拘らない安上がりな講師が採用されてしまうということです。このように採用された講師は小学校だけではなく中学校にもALTとして派遣されています。
実情はわかりますが、それでもせめて採用者は応募者の履歴書のみならず実際に英語のインタビューを実施して発音と発話を十分にチェックしたうえで採用してほしいと思います。
一部の小学校で英語が導入されている現在で、このような状況です。全国の小学校で英語が本格導入されたらどうなってしまうのか、心配しているのは私だけではないはずです。中学校の英語の先生も心配しているはずです。実際、小学校への英語教育導入を検討していた中央教育審議会の外国語専門部会は、小学5年生から英語を必修化すべきだとする報告書をまとめ、文部科学省も前向きに検討し2010年度にも導入される可能性があります。
いままでは一部の公立小学校で実施されてきた英語教育がすべての小学校で実施される見込みです。更なる外国人講師の質の低下に繋がらなければよいのですが…
ACEでは勿論、書類選考の後に全員に英語のインタビューを実施して、文法的に正確な英語を訛りなく発話できる外国人のみ講師として採用しております。
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