前回の続きで、なぜ日本人は英会話が苦手でどうしたら英語をうまく話せるようになれるのかについて書きます。
私のメルマガ読者でも読む価値があるように途中展開を変えています。
まずは少し復習してみましょう。
1. 日本語的な発想と英語的な発想の違い
英語を上手く話せない日本人は「日本語の発想で考えた表現」を「英語」にそのまま置き換えて話そうとしてしまいます。
独身のOLの会話で
「ニューヨークで買ったネクタイをね、彼の誕生日にプレゼントするの。」
これを日本語の発想でそのまま英語で話そうとしてしまいます。
ニューヨークで買った bought in New York
ネクタイ necktie
彼の誕生日プレゼント his birthday present
bought necktie in New York and his birthday present.
こんな英文になってしまいます。
何となく意味は通じそうですが、完全にブロークンイングリッシュですね。
そこで! 私は
「英語的な発想で英語を話しましょう」と提案しました。
私の提案
1)英語は必ず主語と動詞から話し始める。
上の例では、
主語 I
日本語では主語を省略しがちですが英語では必ず主語を言う
動詞 give
「プレゼントする」は物をあげると発想
これからあげるので → 未来 → be going to
あげるつもりだ → I am going to give → I'm going to give
2)英語は主語と動詞を言ったら、次に「一番相手に伝えたいもの」を言う。
I'm going to give と言ったら次は何が一番大切でしょうか?
私はあげるつもりだ...
聞いている人の身になりましょう。
「私はあげるつもりだ」ここまで聞いたら、当然
誰に?
何を?
いつ?
が知りたいですね。これは英語でも日本語でも同じです。
誰に? 「彼に」 独身のOLなら、
私のボーイフレンド my boyfriend
私の彼にあげるつもりだ → I'm going to give my boyfriend
何を? 「ネクタイを」 → a tie
いつ? 「彼の誕生日に」 → on his birthday
3)英語では一番重要なことを最初に言ってから説明を加えていくのでしたね。
ここまでで重要な事はほとんど言いました。
でもそのネクタイってバーゲンで買った安物じゃなくて
私がニューヨークに行った時に買ってきたものなのよ!
これを是非、いいたいのであれば、
そのネクタイって?
→ ニューヨークで買った
→ I bought a tie in New York.
I'm going to give my boyfriend a tie on his birthday.
I bought a tie in New York.
この2つの文を関係代名詞 which で繋ぎます。
I'm going to give my boyfriend a tie on his birthday which I bought in New York.
☆これで英文が完成です。お疲れ様でした。
ちょっと堅苦しい英文ですが、初めはこんな感じで英文を組み立てていくのが一番簡単です。
英語の発想に慣れたら、もっと自然な口頭英語として、
I bought a tie in New York as a birthday gift for my boyfriend and I'm going to give it to him on his birthday.
などと言えるようになります。
でも、こんな英文を最初から言うことはちょっと難しいです。
このような英文を「リピーティング」や「音読」か何かで覚えて、それをそのまま実際の会話で使ってみようとしても上手く行きません。
あなたは独身のOLではないからです。
また独身のOLだったとしてもまったく同じ会話の状況は滅多にあり得ません。
最近は「リピーティング」「シャドーイング」「音読」「右脳学習」などで
英語の回路を頭につくろう!という英会話学習方法が幅を利かせています。
もちろんリスニングやリーディングの速聴や速読、スピーキングの発音やリズム・イントネーションなどの習得にはとても効果があります。
しかし自分で言いたいことを自分で組み立てて英語で表現する、皆さんがなってみたい「自分の思っていることを自由に英語で話せる」人になれるための効果的な学習方法としては役不足です。
上記学習方法をスピーキングに生かす方法として共通しているのは
「何度も繰り返し言ってみて覚えて、その一部を変えて実際の会話で応用する。」ということです。
でも、これではいつまでたっても借文から脱却できません。
何かが足りないのです?
私は足りないものは、
自分の持っている英語の語彙や文法知識をフル活用して自分なりの英文を創造する、クリエイティブなオーラルプラクティス(口頭練習)だと考えています。
英文と聞くと中学・高校で勉強した英語の5文型を想像する人が多いと思います。
確かに英語の文構造は5文型で成り立っています。しかしそんなに難しく考える必要はありません。
5文型の知識がない英語圏の子供たちは立派に英文で話しています。
なぜでしょう?
単純な発想がここでは必要です。
英語を習得する過程で英語圏の子供たちは英語の基本的な文構造としてSVαをまず身につけるそうです。
S は文の主語、V は動詞、そしてα は動詞に続く情報です。
SV を言ったとしても言い足りなければ何らかの情報を追加しないと文は完結しません。
SVα この基本を唯一おさえれば英文は作れます。
α に何を置くかを気にすることはありません。動詞がそれを決めてくれるからです。
例えば、次のSV の後に好きなようにα (動詞に続く情報)を英語で追加してみて下さい。(カッコ内は追加可能な情報のヒント)
1) She looked (~のように見えた)
2) Ted made (~を誰かのために作った)
3) Mary will give (誰かに何かをあげる)
4) He cannot make (誰かを~にできない)
5) Alice put (何かをどこかに置いた)
どうですか?
上の文は第2文型から第5文型を含んでいます。
あまり文型は意識しなくても動詞の後にα(情報)を追加すると考えると案外簡単に英文がつくれます。
解答です。
1) She looked happy. 彼女は幸福そうだった。(幸福そうに見えた)
「~のように見える」という意味のlookの後には、sad, excited, well, sickなど感情や健康状態を表す情報を追加する。
2) Ted made the table for his family.
テッドはそのテーブルを家族のために作った。
「~を作る」という意味のmakeの後には、a model airplane, a gardenやcookies, sandwiches など物や食べ物を表す情報を追加する。
3) Mary will give her father a shirt.
メアリーは父にシャツをあげるつもりだ。
「あげる」という意味のgiveの後には、「誰に」という人を表す情報と「何を」という物を表す情報を追加する。
4) He cannot make her happy. 彼は彼女を幸せにできない。
「人を~にする」という意味のmakeの後には、「誰を」という人を表す情報と「~に」と人の感情や状態または職業(He cannot make her his secretary.)を表す情報を追加する。
5) Alice put her glasses on the piano.
アリスはピアノの上にメガネを置いた。
「置く」という意味のputの後には「何を」という物を表す情報と「どこに」という具体的な場所を表す情報を追加する。
このように動詞の意味によってどんな情報がどんな順番で追加されるかが決まってきます。
同じ動詞のmake でも「~を作る」という意味と「人を~にする」という使役の意味の場合に次にどういう情報がどんな順番で置かれるかが違ってきます。
2)のTed made the table for his family.を
Ted made his family the table. とは絶対に言えません。
「~を作る」という意味のmakeはその後に必ず作る「物」が直に追加され、家族という「人」が追加される場合には、「人を~にする」という使役の意味になってしまうからです。
家族をテーブルにしてしまうのは論理的に意味がおかしいですよね。
逆に4)のHe cannot make her happy. を
He cannot make happy for her. とも言えません。
makeが「~を作る」という意味になってしまうからです。
幸福を彼女のために作ることはできませんよね。
賢明な読者はここまで読んで気づいたと思いますが、英語圏の子供たちが完璧な英文を発話できるのは、
文型を学校で学んでその文型に当てはめて英文を組み立てているからではありません。
主語と動詞を言ったあとでその動詞の意味を完結するため、(意味がおかしくならないように)自然に情報を付け加えているからです。
「先に文型ありき」ではなく、「先に意味ありき」です。
もともと文法や文型は人々が使っている話し言葉や書き言葉を体系化して後からルールとしてまとめたものです。
ここが重要なポイントです。
つまり言語をその文型に当てはめて話そうとすることは、とても不自然なことだということです。
自然に英語を話すためには文型を意識せずに主語と動詞を言ったあとにその動詞の意味する情報を論理的に追加すればよいということです。
ピンと来ない人のために上の例文を使ってもう少し説明してみます。
1) 「彼女は幸福そうに見える」を表現する場合、
主語:彼女は She
動詞:見える looks (自動的に=無意識に動詞にsがつく)
情報:「どんな風に見えるのか?」を追加情報として言えばよい。
→ 幸福そうだったら happy
→ 悲しそうだったら sad
→ とても元気そうだったら very well
→ 気分が悪そうだったら sick
5) 「アリスはピアノの上にメガネを置いた」を表現する場合、
主語:アリスは Alice
動詞:置いた put (過去なのでsはつかない)
情報:「何を置いたのか?」を追加情報として言えばよい
誰の? → 彼女の her
何を? → メガネを glasses
She put her glasses だけでは情報は完結していないので更に追加して
どこに? → ピアノの上に on the piano
She put her glasses on the piano.
どうでしょうか?
動詞の意味を論理的に追っていけば自然と次に何を言ったら良いのかが見えてきませんか?
考えてみるとこれは当然です。
相手に伝えたいメッセージがありそれを言語にしたときに言い足りなければ言葉を続けなければなりません。
自然に英語を話すコツをもう一度繰り返します。
自然に英語を話すためには文型を意識せずに主語と動詞を言ったあとにその動詞の意味する情報を論理的にかつ自然に追加する。
皆さんが感じているように、これは確かに「言うは易く行うは難い」です。
しかしながら私は誰でも確りとした英語学習論に則って、十分に練習すれば、誰でも英語が話せるようになると信じています。
ここで私の言う確りとした英語学習論とは皆さんの年齢と大きく関わってきます。
皆さんが10歳未満の幼児や小学校の低学年の親御さんでお子さんのためにこのブログを読んでいるのであれば、
皆さんのお子さんはまだ言語習得臨界期前ですので、
英語をイメージとして捉え、そのまま右脳に刷り込む学習方法=英語のみによるダイレクトメッソッドや大量のリピーティングまたはシャドーイング学習によって、上記「文型を意識せずに動詞の意味する情報を無意識に追加できるようになる」可能性があります。
※詳しくは私の別なブログ記事「小学校高学年からの英語(英会話)学習」をお読み下さい。
残念ながら、読者の皆さんのほとんどは10歳以上の英語学習者でしょう。
皆さんは既に言語学習臨界期後ですので、上の子供への学習方法を行ったとしても同じような効果はあまり期待できません。
むしろ皆さんは、
英語の文法や文型を概念(言葉のルール)として理解し、右脳のイメージというよりも、論理的に左脳をフル活用して文字として英語をインプットすることが大切です。
※もちろん右脳学習と左脳学習がオーバーラップすることはありますが、主軸を誤ってしまっては効果は薄いと言わざるを得ません。
そこで最後に臨界期を越えた皆さんのために無理なく英文を組み立てるコツを伝授します。
英語では、主語と動詞を言ったあとに大切な情報を付け足すと前述しました。
気づかれた方も多いと思いますが、追加される情報自体は日本語と同じです。
日本語: 「アリスはピアノの上にメガネを置いた」
置いた→ 「ピアノの上に」 「メガネを」
英語: Alice put her glasses on the piano.
put → 'glasses' 'on the piano'
何が違うのでしょうか?
「何を」「どこに」という相手に伝えるべき情報自体は同じなのですが、その情報をどういう順番で追加するかという「語順」です。
英語ではその付け足していく情報のことを「チャンク」と呼びます。
チャンクとは「意味のあるひとかたまり」の情報のことです。
彼女は置いた Alice put
彼女のメガネを her glasses
ピアノの上に on the piano
チャンク(意味のひとかたまり)をどう決めるのかについてのルールはありません。私は皆さんが英語をスムーズに話すのに一番わかり易いチャンクを提示しようと思っています。
「誰が」「する」という主語と動詞はワンセットでチャンクとします。くどいようですが、英語スピーキングでは主語と動詞が要だからです。あとは追加すべき情報をチャンクとします。
いきなり言うのはちょっと難しいと書いた上記英文を思い出してください。
I bought a tie in New York as a birthday gift for my boyfriend and I'm going to give it to him on his birthday.
チャンクでまとめてみます。
私は買った I bought
ネクタイを a tie
ニューヨークで in New York
誕生日プレゼントとして as a birthday gift
彼のために for my boyfriend
そして and
私は~するつもりだ I'm going to
彼にそれをあげる give it to him
彼の誕生日に on his birthday
英語ではこのチャンクを文法ルール(規則)に則って組み立てて(並べて)会話をします。
どうですか?
チャンクに分解してみると自分でもこのぐらいの英文なら1から創れそうな気になってきませんか?
英文を丸ごと何回もリピートして覚えてから応用するよりも、
自分で最初から英文を組み立てられる力を養った方が、
皆さんのゴール「自分の思っていることを自由に英語で話せる」
への近道であると私は考えています。
つまり、皆さんが英語で自由に会話をするためには、
1)英語らしいチャンクが作れるかどうか
2)作ったチャンクを文法的に正確に組み立てられるかどうか
が大切になってきます。
チャンクを作るためには、語彙力がなければ駄目です。
また正確なチャンクの組み立てが出来るためには文法的な知識が必要になります。
つまり、英会話が出来るようになるためには、英語表現をたくさん覚えて文法も学ばなければならないということです。
しかしこのような英語知識(語彙力+文法力)は英語を上手に話せるようになるための必要条件であったとしても必要十分条件ではありません。
英語の知識だけでは英会話は上達しないということです。
知識として獲得した英語力を実際の会話で使える英語運用力に変えていく十分な口頭練習が必要なのです。
次回の記事につづく。
お楽しみに!
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