November 03, 2005

ビンバンブン経営者へ物申す: 英会話教育と会社経営

ご存知の方々も多いと思うが、英会話家庭教師派遣業の最大手のビンバンブンが倒産した。

2日の毎日新聞記事を引用する。

家庭教師派遣会社:破たん、受講料8億余円は返済不能に
英会話の家庭教師を派遣する「ビンバンブンクラブ」を全国展開する「オーブエデュケーションシステム」(さいたま市大宮区)と「エデュケアシステム」(東京都新宿区)が東京地裁に自己破産を申し立てたことが分かった。同社の派遣事業は28日に終了し、東京地裁が翌日、破産手続きの開始決定を出した。受講者は全国で約2万6000人に上り、返済不能な前払い受講料は2社で約8億4000万円の見込み。同社は会員らに受講料返還は不可能とする通知をしており、受講者の間で「被害者の会」を結成する動きも出ている。2社の負債総額は約48億円の見通し。両社は「脳内革命」などを出版した「サンマーク出版」を含む企業グループを運営するSMG(東京都新宿区)の系列会社。毎日新聞 11月2日

また、同日の朝日新聞の記事によると講師に対しても未払いの賃金が1億1千万円もあるそうだ。

同業の経営者として同社に対して強い憤りを感じる。
社会的な責務の一端を担う会社は当然未受講分前払い受講料を返還すべきだ。講師に対しても賃金の未払いは許しがたい行為である。破産した子会社ができないのであれば親会社のSMGがすべての責任を果たすべきだ。

受講料3年分35万円を一括払いというのも度を越している。一括で払えない人へは信販会社にローンを組ませていたようだ。

ビンバンブンに関してはここ数年ネット上で教務のいい加減さに関して苦情が絶えなかったようだ。ビンバンブンに勤務していたという講師の方から担当していた生徒さんに紹介したいと弊社のパンフレット請求で直接連絡をもらったが、講師に対しても事前に何の通達もなく、倒産の件は外部メディアで知ったという。講師に対する研修もサポートも殆どなかったようだ。

関係者によると「中途退会者が新規入会者を上回り、受講料返還経費などがかさんだ。」ということだ。教務運営がずさんであれば中途退会者が増えるのは当たり前である。

教育産業における会社組織はビジネスだが、利益一辺倒では決して成功しない。

今回の倒産劇で思い出したのはECC外語学院の創始者、故山口勇氏の次のような言葉である。私は新卒で20年以上前にECCに就職したが、山口氏の新入社員への訓示で、

「英会話スクールにおいて一番大切なことは、営業と教務のバランスだ。絶えず経営者は50%-50%のバランスを考えないといけない。これは経営者だけではなく社員も講師もこれを絶えず念頭において仕事をしないといけない。営業が教務よりも重んじられると生徒は逃げていく。しかし教務にばかり一生懸命で営業を軽んじると会社としての経営が成り立たなくなる。50-50が理想だ。1%であれ、どちらかに傾いてはスクールの発展はない。」

山口氏はゼロからECCを立ち上げ、現在もECCはビジネスでも英語教育でも成功を収めている。

私たちエース英会話スクールも襟を正してスクール運営と教務のバランスを保たねばと強く感じた。

PR: エース英会話スクールでは、長年英会話の業界に携わってきた経営幹部が、運営と教務のバランスを理想的な50-50にすべく最善を尽くし一般家庭へ英会話家庭教師を派遣しています。

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September 18, 2005

TOEICはもう古い?GTECの時代がもうすぐそこまで来ている!

ベネッセとベルリッツが共同開発したGTECはきっと5年後10年後にはTOEICを凌駕しているであろう。

   GTECホームページ http://www.benesse.co.jp/gtec/index.html

従来TOEICが行ってきた、「リーディング力」と「リスニング力」という英語受信能力を測定し、「ライティング力」と「スピーキング力」という英語発信能力を予測するというテスティングの手法は完全にその岐路に立たされた。

なぜならば、社員の英語での即戦力を測定するために行ってきたTOEICスコアの結果と社員の「ライティング力」と「スピーキング力」に大きな乖離があることに気づき始めたからだ。もう何年も前から気づいていたと言った方が正しいだろう。しかし企業がなぜTOEICを使い続けたのかというと、答えは単純、TOEICに変わりうる英語テストがこの世に存在しなかったからだ。この20年間、世界的な受験者の伸びに大あぐらをかき、TOEICはまったく進化してこなかった。20年前のテスト内容と現在のテスト内容にほとんど変化はない。

GTECのテストでは、実際のビジネスで通用する4技能(読む・聞く・書く・話す)を測定するそうだ。特にTOEICが予測はするが正確に測定できない「書く・話す」という英語発信能力を、受験者に実際に英文を書かせ、そして実際に英語を話させ、それをレーターと呼ばれる評価官が一人ひとりの英文を「読み」「聞いて」評価するという。

TOEICは試験会場または社内・学校などの会議室で一斉受験、マークシートに解答してコンピュータで処理している。これに対してGTECは一人ひとりがパソコンに向かいテストを受け、その結果がリアルタイムでGTEC本部のホストコンピュータに送信される仕組みだ。だからこそライティングセクションで受験者が実際に手元のパソコンで打ち込んだ英文が記録として送信され、またスピーキングセクションで受験者が実際に発話した英語音声が送信され、GTECのホストコンピュータに文書データおよび音声データとして保存される。そのデータをGTEC本部のレーターが一つひとつ評価するという仕組みだ。これはアメリカのETSTOEFLで導入したcomputer based testの手法であり、TOEICも開発・制作したETSGTECに先を越されたということである。

GTECは既に日本の一流企業(三井物産、日本オラクル、アドバンテストなど)に導入され始めており、私の予想では近い将来一般の会社にもかなり普及し、中小企業でも導入されるようになる。そうなれば企業への就職英語力判定としてGTECスコアが使われるようになった段階で大学生まで受験者層が降りてくると思われる。TOEICGTECに受験者を奪われるのを指をくわえて傍観するはずもなく、早い段階でGTECに対抗しうる英語発信能力測定のためのセクションがTOEICに追加されるはずである。

そうなれば今後益々国際的なビジネスシーンで重要視される英語発信能力を如何に正確に測定できるかがテストの良し悪しを決める決定的な判断基準となるはずである。ビジネス版での英語発信能力とは、具体的には電子メールでのやり取りで商談を交わすライティング能力、IP電話やMSメッセンジャー、スカイプなど(インターネットで接続可能な電話に近いPC音声コミュニケーションツール)を使って外国にいる相手と直接口頭英語で交渉するというスピーキング能力のことである。

このように企業が信頼する英語コミュニケーション能力評価テストが英語を「読む」「聞く」という受信能力測定から、英語を「書く」「話す」という発信能力測定に移行することは日本の英語教育にとっても非常に喜ばしいことである。

英語を「読む」「聞く」という受動的な能力のみ測定するTOEICで高得点を取れば実際のビジネスにおいて外国人の言っていることや書いていることは理解できるという証明にはなったが、残念ながら自分の考えや意見などを英語で相手に十分伝えられるという発信英語力の証明にはならなかった。TOEICで高得点を取ることに躍起になってきた大学生や会社員たちにとってはいい迷惑である。

なぜならばTOEICで高得点を取るという目的(如何に速く正確に英文を「読みこなし」、如何に正確に英語音声を「聞き取る」という受動英語能力向上のために英語学習時間を割いてきたからだ。あまりTOEICの得点に影響を与えない英語発信能力の学習に時間が割けなかったからである。つまりTOEIC受験が会社から義務付けられていたので、本当の意味で実際のビジネス場面で必要とされている英語力を伸ばすことができなかったのである。この意味において、いままでTOEIC20年という長期に渡って大あぐらをかいてきたことが、日本の英語学習者に対して少なからず悪影響を与えてきたことは誰も否めないと思う。

しかし過ぎ去ったことで悲観的になるのはもうやめよう。

英語受信能力から英語発信能力の育成へと、日本の英語教育のパラダイムが大きくシフトしようとしている。

明るい未来が私たち英語学習者を待っている。

PRエース英会話は創設以来、英語発信能力の育成に邁進している。

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