本当に子供は語学の天才なのか?
「幼児や子供は外国語をスポンジのよう吸収してすぐにマスターしてしまう。また英語をたくさん聞いていれば難無くそれを真似て言えるようになる。」と一般的に定説の如く信じられている。本当に子供は大人よりも外国語の習得は早いのであろうか?
確かに親の海外赴任の為に一家で英語圏に住むことになった場合、大人よりも子供の方が英会話の習得が早い。幼稚園児や小学生・中学生であれば2年位現地の幼稚園や小中学校で英語のネイティブスピーカーに囲まれて生活すればかなり上達する。発音や発話がかなりネイティブに近づき、日英バイリンガルになれる素地は十分に身につくはずだ。英語圏で生活して現地の学校に通ってall Englishの授業を1日中受けて、学習した英語を友達や日常生活で使うという英語環境に浸り切ればこれは事実であろう。つまり母国語を学ぶのと同じ環境に居れば英語をあたかも日本語と同じように吸収して身につけることができるのだ。日本語という母語が既に確立されている大人はこうは行かない。日本語が介在して英語の自然な習得を妨げてしまう。
しかしながら、日本に居て日常の会話がすべて日本語という日本語環境において英語を外国語として学習する場合、同じことが言えるのであろうか?英会話スクールや教室に通って週1回1時間足らず英語に触れることによって子供は大人よりも早く効果的に英会話をモノにすることが出来るのであろうか?私はこの問いに対しては声を大にして、「そんなことはない、学校英語で少なくとも6年間英語の授業で学んだ英文法の基礎や基本語彙を持っている大人の方が子供よりも遥かに吸収が早く英会話力が身につく」と言い切れる。つまり、日本に住んでいて日本語の環境で英語を外国語として学ぶ場合には、子供が語学の天才だとは決して言えないのである。週1回1時間足らずのネイティブのレッスンをオールイングリッシュで数年間受けて英会話がマスターできるほど英語は日本人にとって甘くはない。英語圏の人たちにとって日本語をマスターすることが非常に難しいのと同様、日本人がまったく異なる言語体系や音を持つ英語をマスターすることはとても難しいのである。同じインドヨーロッパ語族の母語を話すヨーロッパの人々が易々と英語をマスターするのとは訳が違うのである。
発音習得は別として、新しい単語を習得することや英語表現を覚えて実際の会話で応用することなどについては大人の方が遥かに早く効率的である。このことをしっかり認識していないと大変なことになる。子供は単語を覚えるのに大人の1.5倍から2倍かかるし覚えてもすぐに忘れてしまう。定着させるためには大人以上に何度も何度も繰り返し復習して定着させなければならない。英語教育の提供者はこのことをしっかりと認識すべきだ。「子供は語学の天才!早期に始めれば子供は楽に無理なく効率よく英会話を身につけることが出来ます。」と日本にある英会話スクールや英語教室が広告・宣伝で謳うことはまったく看板に偽りありである。
ところで、残念なことに公立の中学高校で教えているのはあくまでも英語である。英語を使ってのコミュニケーションを教えているわけではない。多くの英会話スクール、英語教室も英会話レッスンといいながら英語を教えている。
では英語を教えるということと英語によるコミュニケーションを教えることの違いは何かというと?
レッスンの中でどれだけ英語による実際のコミュニケーションが先生と生徒の間にあるかということだ。ホワイトボードで文法の解説をしたり表現の意味を説明したりすることはもちろんのこと、発音指導や表現のリピートも厳格にいうと英語を教えているのであり、コミュニケーションを教えているのではない。最近はリピーティングやシャドーイングなどが流行りであるが、大手英会話スクールで学んできた子供達はやたらと先生の発話をリピートしたがる。質問して答えを求めているにも拘らず、質問に答えるのではなく先生の質問を無意識にリピートしてしまう。これはクラスにおいて講師が絶えず生徒にリピートを強要することによって生じる弊害である。つまり先生と生徒の間で英語でのコミュニケーションが成立していないのである。4人以上の生徒がいる教室で指導する場合、先生が生徒1人1人と英語でのコミュニケーションを成立させることはかなり難しい。どうしても1対多のコミュニケーション、つまりクラス全体の生徒に対する英語の指導に終始してしまいがちである。その結果として先生の発話やCDのリピートが多くなる。いくら上手にリピートできるようになったとしても、実際の会話でその表現を使ってみないことには会話力は伸びないのである。リピーティングだけで会話力が伸びるのであればCDやビデオ教材で十分であり、英会話スクールはビジネスとしてまったく成り立たなくなってしまう。
CDを使って自宅で独習する場合にはリピーティングはそれなりに効果的だ。しかし、れっきとした講師が英会話を指導するレッスンにおいては、話は別だ。メカニカルなリピートをなるべく少なくして、生徒に英文を模倣させるのではなく英文を自分の力で組み立てさせる。テープやCDでのリピーティングプラクティスを講師の声でクラスにおいて実践することはまったくノンセンスだ。講師はできるだけ受講生に発話の機会を与え、自力で話すことを促すべきだ。生徒が英語で表現できなかったり間違った言い方をしたりした時にのみ講師は助け舟を出せばよい。最初から講師が模範解答を作ってそれを生徒にリピートさせ習得させようという教え方ではレッスンが単調でおもしろくないし、生徒はいつまでたっても自分の言葉で話せるようにはならない。
What's your name? My name is ... How are you? I'm fine, thank you. What do you like to do in your free time? I like to go to see the movies. など最初は1問1答でも構わない。先生と生徒の会話が成り立てばよい。1問1答がスムーズにできるようになってから、答えのバリエーションや2文3文で応えること、相手に質問し返すことなど各種コミュニケーションテクニックを身に付けていけばよい。
英会話スクールに子供を通わせている親御さん達は驚かれるであろうが、意味のあることを先生と英語でコミュニケーションするという始めの1歩を子供が踏み出せるかどうか?そこに幼児・子供の英会話マスターへの成功が隠されている。
先生と生徒の1対1のコミュニケーションを成立させる最大のレッスン形態はプライベートレッスンであり、いかに生徒に実践会話の機会を講師が与えられるかにその効果がかかっている。実践会話の場、これこそ英語の苦手な日本人が喉から手が出るほど求めているものなのだ。
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Comments
初めまして♪
家庭教師をやっていますMと言います!
家庭教師仲間を探して、ブログランキングから遊びに来ました!
英語専門という訳ではないですけど、同じ家庭教師ということで宜しくお願いします(笑)
小学生はスラスラと英語を覚えていく姿を横で見ていると、やっぱり子供は語学の天才なのかな?と僕は実感しています。
また、遊びにこさせてもらいます!
Posted by: ★家庭教師は時給が高いただのアルバイトじゃない! | March 16, 2006 03:12 PM