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August 17, 2005

学校英語の授業で一向に英語が話せるようにならない理由は簡単だ。

中1と中2の英語の教科書は確かにダイアログが中心で口頭英語を教える素材となってきた。(中3からは以前と同じエッセイ中心のテキストであまり進歩がないが・・・)また高校の授業でも英語オーラルコミュニケーションという教科書を使って授業を行っている。

しかし、学校英語の授業のお蔭で生徒が英語を話せるようになったという報告は耳にしたことがまったくない。何故か?

答は簡単だ。未だにGrammar Translation(文法解説と英文和訳中心の授業)を根本にした授業が行われ、教師は生徒の理解の指導に終始して、話せるようになるまでの指導が出来ていないからだ。

相当な教授法研修を受けない限り「教師は自分が教わってきた方法以外で生徒を指導することが出来ない」という定説がここに生きているのだ。英語が使えるようになるための指導が具体的にどういうものなのかはっきりと認識しそれを実践できる日本人の英語の先生が中高でどのぐらいいるかはその学習成果から明らかであろう。10%いれば良い方だと思う。中高の先生を養成している大学の教育学部や英文科・英語学科の講義において、具体的にそれがどういうものか講義し、教え子である中高教師が実際に教壇に立ったときにそれを実践できるように指導(トレーニング)できている大学講師や教授があまりにも少ないということでもある。

教科書に書かれた英文を生徒が実際の会話で使えるようするための、一つの方法は次の言語学習5段解理論を実践することだ。

第一段階 Recognition(認知=理解)

教科書に書かれた英文をまずは理解する。理想的には最初は音声での聞き取り(Listening)指導から入り、次に聞いた英文を読んで(Reading)詳しく理解する指導=英文の構文理解(Structure=Grammar)と語彙・語法解説(Vocabulary)を含む意味の指導へと進む。ここで注意しなければならないのは英文を決して日本語に一語一句正確に訳してはいけない。むしろその英文の言語機能(language functions)と正しい使い方(social linguistic aspects)を教えることが大切だ。

第二段階 Imitation(模倣)

上記で充分に理解した英文メッセージの意味を十分に念頭に置きながらCDなどのネイティブの音声を真似て言ってみる発音・音声指導である。フォニックスと音声変化のルール(音のリンクや脱落など)を上手く絡めて指導すると効果的である。

第三段階 Repetition(反復)

正確に意味を理解しネイティブに近い発音で言えるようになった英文を何度も反復して発話させ、定着をはかる。(これによって自然に英文を暗記し暗誦できるようになる。(リピーティング指導)

第四段階 Diversion(展開)

憶えた英文の一部をいろいろ変化させて、新しい英文を作る応用力を養成する。(ドリル指導)

第五段階 Selection(選択)

いろいろな場面や状況に応じて適切な英語表現を選択して実際の会話で使ってみる(実践会話)学校での指導は第一段階:理解の指導もしくは第二段階:音声指導で終わっている。しかも未だに詳細に渡る文法解説や英文和訳に授業時間のほとんどを費やしている先生方が多い。ゆえに英文は理解(訳せるが)使えるようにはならない。使えるようになるための指導(反復・展開・選択)を行っていないのであるから使えるようになるはずがないのだ。

「1クラス20人も30人も生徒がいて実践的な英会話は教えられない」という中高教師の言い訳が聞こえてくる。

しかし人数は問題ない。生徒が30人であったとしても実践的な会話は充分に教えられる。

1)全体学習 2)ペアー学習 3)個別チェック 4)全体学習 という4サイクル指導手順を踏めばクラスサイズが30名であっても十分に対応可能である。

ここでは実際に中1の英語のテキストから抜粋した次のダイアログを、第一段階:理解の指導および第二段階:発音・音声指導が終わって、第三段階のリピーティング指導(反復による定着)に入ったとして簡潔に説明する。

Situation: At a Japanese restaurant

Yumi: Do you like Japanese food, Lucy?

Lucy: Yes, I do.

Yumi: What do you like?

Lucy: I like sushi and tempura.

☆第三段階の反復による定着を4サイクルで指導する例

1)全体学習

A. Choral Reading: 講師の発話またはCDのネイティブの音声のあとに一発話ずつクラス全体に大きな声でリピートさせる。(1発話2回ずつ)

Teacher: Now, class! Read the dialog after me. Do you like Japanese food, Lucy?

Class: Do you like Japanese food, Lucy?

  最後まで続ける

B. Role Reading: 講師とクラスでダイアログの発話のやり取りをする。

Teacher: Let's do role reading. I will take the role of Lucy first. Why don't you take the role of Yumi?

Teacher: Do you like Japanese food, Lucy?

Class: Yes, I do.

Teacher: What do you like?

Class: I like sushi and tempura.

    ロールチェンジしてもう一度

2)ペアー学習

隣の人とペアーを組ませRole Readingをさせる。講師がストップと言うまで何度でも繰り返させる。頃合を見計らってロールチェンジさせる。生徒がやっている間、講師はクラスを見回って生徒一人ひとりの発音などを出来る限り矯正する。

3)個別チェック

生徒2人を指名し、その場に立たせてロールリーディングをさせる。3~4組実施。矯正する部分があれば矯正し、クラス全体にも矯正箇所をリピートさせる。

4)全体学習

 締めくくりとして、再度講師対クラスでロールリーディングを実施する。

以上でロールリーディングは終了

次にテキストを閉じさせて、講師の声またはCDのネイティブの音声のあとに一発話ずつクラス全体に大きな声でリピートさせる。上記と同じ手順でテキストを一切見させずに4サイクルでロールプレイができるように指導する。

☆次に第四段階 Diversion(展開) ドリル指導

(日本食レストランでの会話)

(中華レストランでの会話)

(イタリアンレストランでの会話)

などと設定して、

A: Do you like Italian food?

B: Yes, I do. (No, I don't.)

A: What do you like?

B: I like Pizza and spaghetti.

と応用させる。

さらに発展させ、

(スポーツの会話)

A: Do you like sports? ※1年生なのでまだ不定詞は使わない

B: Yes, I do. (No, I don't.)

A: What do you like?

B: I like soccer and tennis.

(音楽の会話)

A: Do you like music?

B: Yes, I do. (No, I don't.)

A: What do you like?

B: I like rock and popular music.

※以上を4サイクルで指導する。

☆第五段階 Selection(選択) 実践会話

主にペアーでの会話に最大限の時間を割く。

A. You are at a Chinese restaurant, Italian ...

B. Talk about music, sports, ...

などと場面やトピックを講師が指定してペアーで会話させる。

※これも4サイクルで指導する。

以上が簡単であるが4サイクルを使った指導の具体例である。

お気づきのように第三段階から第五段階まではあくまでも生徒が主役であり、講師は脇役である。講義形式なんてとんでもない!生徒は第一段階と第二段階で理解した英文を徹底的に声に出して活発に使ってみるのだ。

ここまでやれば、このダイアログにおける次の目標言語機能(target functions)は、英語でのコミュニケーションである程度使えるようになる。

何かが好きかどうか尋ねる表現 Do you like ...?

それにYesNoで答える。

さらに具体的に何が好きか尋ねる表現 What do you like?

それに具体的な名前を挙げて答える。 I like A and B.

※言語概念とその機能的なアプローチ(Notional Functional Approach については別の記事で説明したい。

私はECCで20年前に30名近くの生徒へ3年以上上記の指導方法で直接教えたことがある。さらに日本人講師を研修し、直接・間接的に5年間以上で1千人以上の生徒へ実践した。教えた英語を実践の英語コミュニケーションで使えるようになったかという観点からは、中高での学校英語授業の効果とは雲泥の差があった。当時ECCの年間受講料は20万円を越えていたがそれだけの価値は十二分にあったと確信している。(週2回、1回80分)

最後に英文和訳をいくらやっても英語が話せるようにならないどころか、むしろ英語が話せなくなる実例を挙げてこの記事を締めくくる。

今年の5月頃、NHKテレビで著名な翻訳家(有名大学の英文科で英日翻訳も教えている)がインタビューを受けていた。私はその翻訳家の回答に衝撃を受けた。翻訳家曰く、「英語は恥ずかしくなるほど話せないんですよ。海外でのパーティなどでは本当に困ってしまいます。」

1日のほとんどの時間を英文和訳に費やしているにも拘らず英語が話せないとは?!

しかしよく考えてみると、これは当然と言えば当然だ。口頭英語でのコミュニケーションにおいて英文和訳は弊害の他なにものでもない。英語を聞いたり読んだりする時に日本語を介在させることは、英文を英語で直接理解すること(直解)の大きな妨げとなる。

英文和訳を続けていると自分がいざ英語を話そうとするときに日本語が頭に浮かんでしまい、その日本語を英語に置き換えようとしてしまう。これでは英語がスムーズに話せるわけがない。右脳で浮かんだ自分の話したいメッセージ(イメージ)を日本語を介在せずに、左脳に蓄えた自分の英語のボキャブラリーと文法力でそのまま言葉にすることによって初めて英語がスムーズに話せるのだ。

PR:エース英会話スクールでは英文理解(認知)の指導に留まらず、使えるようになるまでの指導(模倣・反復・展開・選択)を実践している。

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